新しい政治のあり方とは? ネット選挙運動、議員もユーザも熱い議論(産経新聞)

 国会議員によるリアルタイム討論会「永田町なうII」が3月25日、東京・永田町で開催された。今夏の参院選を前に機運が高まるインターネットを利用した選挙運動解禁について、民主党の藤末健三参院議員と自民党の世耕弘成参院議員が、産経新聞Web面担当の司会で討論。その様子はミニブログ「ツイッター」で投稿されたほか、動画サイト「ニコニコ動画」でも生放送され、約4000人が視聴した。視聴者アンケートも同時進行で行い、議員とユーザーも熱い議論を展開、新しい政治のあり方を探った。

 ≪現状は≫

 ■「未知」への不安が壁/意見の自由は担保すべき

 司会 公職選挙法ではネットによる選挙運動が禁止されていますが、現状を教えてください。

 藤末 公示日(告示日)から投票日の前日まで、限定されたビラしか使えません。ネットの画面もビラと同じ扱い。選挙期間中は選挙運動に使えず、非常に遅れています。

 司会 民主党の取り組みは。

 藤末 民主党はネット選挙運動解禁の(公選法改正)法案を提出したことがありますが、廃案になりました。再度提出するため、研究会で検討し、党本部に対する法改正の提案は終わっています。

 司会 一方、自民党は。

 世耕 ワーキングチームを作って議論しています。私は初当選以来、ずっとこの問題に取り組んでいますが、残念ながら党内の反対論が強く、法案を作るまではいかなかった。しかし、総選挙で大惨敗し、党内も雰囲気が変わりました。自民党として、法案を出すための作業を進めています。

 司会 ここでニコニコ動画視聴者が参加するアンケートです。「夏の参院選までにネット選挙活動を解禁すべきか」。結果は、「解禁すべき」が66.7%、「解禁すべきではない」が14.7%、「どちらともいえない」が18.6%でした。

 世耕 意外と「すべきでない」が多いですね。いろんなネットの怖さを気にされているのかなと思います。

 ≪対応の遅れ≫

 司会 ネット選挙運動を阻む理由は何でしょうか。

 藤末 パソコンやネットを使えない政治家は、未知のものを不安に思っている。地方の市議や県議の人がネガティブですね。

 世耕 自民党では大きく3つあります。1つ目は誹謗(ひぼう)中傷、なりすましが広がるのではないかという心配。2つ目はお金がかかるのではないかという心配。3つ目は選挙運動が大変になるんじゃないかという心配です。でも、今も誹謗中傷は禁止ですし、プロバイダ責任制限法による削除期間を選挙用に短縮することで、対策ができる。お金も決まった範囲内でやっていけばよい。選挙運動は、大学生のボランティアスタッフを頼むなど、工夫で対処できます。

 司会 選挙運動でネットを使うメリットは。

 世耕 街頭演説を事前に告知する手段は今ないが、ツイッターやブログが使えればできます。誹謗中傷への対策として、「怪文書」への反論の手段にもなります。

 藤末 ネットなら、選挙期間中に何か新たな問題があったときに自分の考え方を正確に伝えることができます。

 司会 現行法では、有権者が選挙期間中にネットで候補者の支持を求めるようなことも禁じられています。

 藤末 われわれが示した案では、有権者もメールなどで選挙の情報発信できます。しかし、個人的には、徐々に利用の範囲を拡大していったほうがよいかと思っています。

 世耕 私は逆に、掲示板やブログなど第三者の意見表明の自由は担保しなければと思っています。

 藤末 しかし、プロバイダーの限界もあるのでは。削除要請への迅速な対応が保証されているサイト以外で個人が書き込めるのは、危険ではないでしょうか。

 世耕 有権者はそういう情報は信用しません。候補者は傷つくが、そのぐらいやらなければ!

 藤末 そこまでやりますか(笑)。踏み込みますよ。一緒にやりましょう。

 世耕 問題は自民対民主ではなく、ネットに警戒的な人と、ネットを生活の一部として使いこなしているわれわれとの党内での対立ですね(笑)

 司会 党内でネットに対する理解の差、デジタル・デバイドを感じますか。

 世耕 感じますね。いまだホームページを持たない議員もいる。ツイッターは100人ぐらいの議員に説明したけれど、分かってもらうのが大変…。

 藤末 感覚の違いは大きいです。

 司会 改正には党内調整が必要ですが。

 藤末 1月末に、研究会で法案を作りました。議員立法で動いています。

 世耕 具体的な法案作りに入っています。今国会で、できるだけ早く対応したい。

 司会 5月までに成立させれば、次回の参院選に間に合いますね。

 世耕 自民党と民主党で、賛成反対と争うことではないです。できる限りすりあわせをして、みんなで解禁しようと決まれば極めて短時間で成立させることができます。

 司会 2つ目のアンケートは「ネット解禁にあたっては選挙期間中、候補者の何を見たいですか?」。結果は、「政治家の生中継」が65.8%、「ブログ」14.8%、「動画(録画)」12.4%、「ツイッター」7.0%。

 藤末 「ツイッター」7%にびっくりしました。メッセージは深いですね。ネットの双方向性を活かして政策を作ってみたいです。

 ≪解禁後は≫

 司会 ネット選挙運動解禁で、将来の選挙の姿は変わりますか。

 世耕 伝統的な運動は残ります。ただ、選挙を積み重ねてネットで議論できるようになれば、街宣車は消えていくと思う。ネット選挙と身構えているが、実は選挙運動期間以外では使っているものです。

 藤末 私もビラやはがきは残るが、数は減っていくと思います。ネットを使えば、政治は変わる。お金がなくても志があれば選ばれるという状況を作りたいですね。

(敬称略、一部加工してあります)

【用語解説】プロバイダ責任制限法

 ネット上でプライバシー侵害や誹謗(ひぼう)中傷を受けた人を救済するため、プロバイダーの責任の範囲などを定めた法律。平成14年5月施行。プロバイダーが違法な内容の情報を削除したり、発信者の個人情報を開示する手続きなどを規定している。

 ◆公職選挙法が禁止するネット上の主な行為

 公職選挙法第142条は、選挙運動のために不特定多数に配布する文書を制限している。ホームページやブログ、ツイッター、動画、メールもその対象とみなされ、特定の候補者への投票を呼びかけることを禁止している。また、同法146条では、候補者の氏名を表示した文書の頒布も禁じており、候補者の支持表明や活動紹介も同法違反になる可能性がある。候補者だけでなく、一般ユーザーも対象。罰則は、2年以下の禁固又は50万円以下の罰金。

 ◆Twitterでも中継 リアルタイムで意見交換

 ツイッターでも討論会の様子が中継された。ユーザーからは「ネット選挙はできれば便利だけど、いろんな問題をクリアしないといけない」「調整はしっかりして法案通してほしい」といった意見が寄せられた。

 また、藤末議員が「生放送でユーザーと公開討論したい」と発言したところ、ニコニコ動画から「検討いたします」との書き込みもあった。

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